クライアントは夫婦+子供4人で、家族の住まいと自家用ガレージ、3室の賃貸住宅を計画することが求められた。建物の構成としては、1階がガレージ、2階に賃貸住宅、3階~4階が家族の住居である。
敷地は東京都心の住宅地にあり、周辺は2階建ての住宅や3~4階の共同住宅が建ち並んでいる。東側は7m、北側は4mの道路で、南側と西側の隣地は3階建ての住宅である。
最大限のボリュームを確保するため、高さ制限(道路、高度斜線、日影規制)によって削り取られたままの形態とした。さらに2階及び3階へアクセスする階段のボリュームを削り取り建物の最終的な形が決まった。
建物の1階は、ご主人の趣味である車とバイクの整備スペースを持つガレージとなっている。ガレージ奥の壁と床の一部は赤として、愛車の色と合わせてデザインしている。愛車の赤、ガレージの赤が引き立つよう、外壁は黒のガルバリウム鋼板で仕上げ、コントラストを強調している。
オーナー住居である3階には、外部階段とエレベータでアクセスする。西側の外部階段から室内に入り、狭い廊下を経由して東側の階段からスパイラル状の動線で4階へと上がる。4階に辿り着くと、天井高約5.5mの開放的な大空間が現れる。北側の斜壁はガラスの大開口となっており、都市の眺望と北側の安定した光を室内に取り込み、日が昇ってから日没までの時間の移ろいを感じられる。
4階の内部は屋根を柱や壁で支えることなく、登り梁と棟木で勾配天井の大空間を実現し、水回りとEVのボリュームがその中に挿入されているような構成とした。
この建物はガレージにより大スパンの求められる1階を鉄骨造、住居である2階~4階を木造としている。構造体に木材を使用することで炭素を固定化し、環境負荷低減に寄与することを狙っている。